あの日の朝焼け「帰宅」
2週間続いた仕事が、ようやくひと段落。
最終日を徹夜で終え、その帰り道。
酔い醒めのような気分で
夜明けに仕事が終わる
ASKAさんの「帰宅」を聴きながら、まだ真っ暗だった空が少しずつ色をつけていくのを眺める。
上手くいったことも、いかなかったこともあったけど、とにかく終わった。
アコースティックギターの音色に重なる、ASKAさんの優しい歌声が、
疲れきった身体に、まだ興奮の冷めない神経に、すーっと沁み入る。
なんというご褒美。
ただただ幸せを感じるひと時だ。
仕事先は、田舎の小さな町で開かれたジャズフェスティバル。
期間中は、町全体がジャズを中心に様々な音楽で溢れていて、仕事で携わっている人、コンサートを聴きに来ている人、町の住人、小さな子どもから年配の方まで、みんなが笑顔で楽しんでいる。
私は、直接音楽に関わるわけではないけど、音楽が繋ぐ縁の円の中、胸を熱く過ごす毎日。
みんなそれぞれ、悲しみや苦しみを抱えて生きている。
だけど、そこに音楽があって、人の温もりがあって、喜びがある。
楽しんで生きることを諦めない。
11年続いているこの光景に、また今年も感動した。
音楽は、人の心にとって、潤いであり、光であり、生きるエネルギーだなぁと改めて実感する。
「また来年も会おう」
そんな言葉があちこちで交わされるのも、いつものこと。そこにはそれまでお互い頑張ろうな、元気でいろよ、そんな温かい気持ちが込められている。
みんなが心を一つにすることで、素晴らしい空間を作ることができる。
幸せはそんなに難しいことじゃないんだよ、ということを気付かされる。
もうすぐこの街のもとに 光が届く
葉書を差し込むように
この日の朝焼けを一緒に見た人たちは、今何を想っているのだろう。
歌詞引用「帰宅」作詞作曲:飛鳥涼
1997年 アルバム『ONE』ASKA 収録曲