ASKA new album を聴く。11.「信じることが楽さ」
最初から最後まで、ASKAさんの根っこがそのまま伝わってくる歌詞。
「僕は迷いもなく 遠い星を数えて
深い深い夜を愛おしく思う」
生命に対する深い愛を感じ、一つ一つの言葉が心に沁みる。
個人的には、よくぞこのアルバム『Too many people』に入ってくれた、と泣けてくるほどに強い思い入れもある。
『700番 第一巻』(加筆修正された完全版 3月19日発売予定) が、ブログとして2016年1月に発表された時、何よりもまずASKAさんの「生」を感じて安心した。
だけど、ASKAさんの真実、想いが理解できると同時に、痛みを伴わずには読めないところもあった。
このブログでは、ほとんどの章の終わりに散文詩が添えられていたのが特徴的で、そこがとてもASKAさんらしい。
その中で私が一番印象に残った詩が、週刊文春の章にあった「信じることが楽さ」だった。
ASKAさんの真実とはほど遠い、メディアのでたらめな報道。世間が持ったイメージ。
そのことに一番傷つき、苦しんでいるのはASKAさんだろう。
人生で心が傷つく度に、また傷つくのが怖いからと、信じないことが楽さ、に傾きつつあった私は、
この週刊文春との経緯を書いた後に、
この詩を載せる、綴ることのできる
ASKAさんの心のあり方に、目が覚めるような思いがした。
そのため私のブログでも何度かこの詩を引用した。
どんな状況にあっても、人を、生命を敬い、愛する。
その揺るぎない強さを感じるこの詩には、
それでも足りないくらいの、たくさんの気付きがあった。
まるでその強さを試すかのように、さらに降りかかる大きな試練 (昨年の逮捕)。
2014年には、雑誌記者が、取材ではないと前置きした会話と未発表曲を隠し録音し、自社Web会員に公開した。
2016年には、芸能リポーターが、電話での会話や未発表曲をテレビで流した。
繰り返されたアーティストへの冒涜。尊重されない約束。先入観、偏見に満ち、なぶるような報道。
それに対してASKAさんは、
静かに真正面から抗議をする。
昨年もそうだった。
ただその憤りでさえ、優しい心で締めくくる。
12月22日
今日は、1日雨でした。
雨を喜ぶ人がいる。
晴れを喜ぶ人がいる。
いいんです。
見上げたら空があれば。
尿とお茶 - aska_burnishstone’s diary
この歌「信じることが楽さ」の芯が、この数行にも表れているように思う。
『700番』で読んだ時から、ASKAさんって人は…、とその美しい心に驚きすら覚えていたけど、
この日、ASKAさんの本質は変わっていない、変わることのないものなんだと、ますます感じ入った。
「Too many people」では、メディア報道で傷ついた心が、
この「信じることが楽さ」では、それでも変わらないASKAさんの生命のあり方がベースになっている。
「悲しみの言葉を 綴ることのないよう
水たまり避けながら 行くことが苦手で」
とリンクして思い出す、
「僕はと言えば 冬の支度も 出来てないけど
歌を歌うよ」( In My Circle )
不器用で無防備とも言える生き方。
そんな生き方しかできないけど、ただ自分の道を歩み続けるだけ、といった達観した人生観を感じる。
また唯一、このアルバムの中でほぼ私のイメージ通りだった曲の雰囲気。
ブルースハープが入ってもよさそうな ( 超個人的な要望です)、感傷的なメロディー。
ギターのフィンガーノイズ (キィュ、キィュと鳴る) 音がたまらなく良い。
デジャヴュではないけど、一年間歌詞だけを読んでいたのに、抵抗なく自然に馴染んでゆく。
ずっとそばにいたような、ずっとそばにいるような。
信じないことが楽さ、と時々つぶやくようになっていた自分の弱さに向き合え、
「疑うことは寂しいことなんだ」
やっぱり「信じることが楽さ」と
ガシッと肩を抱いてもらったみたいな、そんな安心感をこの歌から与えられた。
「両手でポケットを まさぐって歩く
道はいつでも僕に新しい」
生きていくのに大切な強さは、
自分も含めた、人間への揺るぎない愛を持ち続けること。
例えどんなに厳しい環境に置かれても、
例えどんなに冷たい仕打ちを受けても、
生きている限り、優しい瞳を持ち続けたい。
ASKAさんがそうであるように。
それを忘れないでいさせてくれる、
大切な大切な歌。