生きていてくれれば、
元気でいてくれれば、
歌を歌いたいという気持ちさえ持っていてくれれば、
音を紡いでいてさえくれれば、
それだけで十分だと思っていた。
レコード会社も決まっていない、全く白紙の状態から、
スタジオ他、細かい制作条件にも限りがあっただろう。
ASKAさんの心境にしても、
やや不安定な時期に創りためたものだろう。
それはそれで今のASKAさんなのだ。
そういった環境で、どんな音が生まれるのか。
今のASKAさんの音楽が聴ける喜び。
それだけでも凄いこと。
ところが、ブログで制作状況を伝えてくれるASKAさんの文章を読んでいくに従って、
私の考えは全く甘過ぎる、失礼なものなんだということに気付いた。
ASKAさんはミュージシャンとして、プロとして、当たり前のことと、最上級の音楽を創ろうとしている。
どんなに厳しい条件の中でも、音楽に対する妥協はない。
それを強く感じた。
当たり前に歌う人として、
当たり前に音楽を創っているだけ。
そこに条件は関係ない。
発売日、曲名、を知った時は、報告の文字を眺めるだけで鼓動が早くなり、
ついにその日を迎えた時は、胸の中に熱いものが広がった。
そして、
生まれたてのアルバムを手にした時は、ありとあらゆる方向から眺め、抱きしめ、何度も何度も愛でた。
新しく生まれ、最初は小さくか弱そうにも思えたASKAさんの『Too many people』。
一曲目の「FUKUOKA」から、驚くべき生命力を放って、ぐんぐん成長していった。
一曲一曲に衝撃を受けた。
ASKAさんの告白の欠片に鳥肌が立ちっぱなしだ。
嵐のような夜を過ごした後、
青空の朝、手にした『Too many people』
冬の寒さの中に射す暖かな光のもと、青空を仰ぎながら聴いた。
『700番 第二巻/第三巻』で、欠けていたピースがはまっていくように鮮やかになった、その画が、
今度はよりディティールがはっきりと、躍動感に溢れたものになった。
音が、歌が、ASKAが活きている。
新しい生まれたての命のように。
その一つの大きな命を直接感じて、心と身体のゾクゾクが止まらない。
確かにASKAさん、でも新しいASKAさん。
一曲一曲に強い生命力を感じた。
幸せって、自分の中に確かな生命の証を感じることのできた時、
13曲通して聴いて、そうつくづく思った。
ASKAさんは今幸せだ。
そして、私も今幸せを感じている。